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奈良地方裁判所 昭和28年(行)3号 判決 1955年7月14日

原告 禅野佐助

被告 奈良市固定資産評価審査委員会

主文

原告の請求は何れも之を棄却する。

訴訟費用は総べて原告の負担とする。

事実

原告は原告より被告になした昭和二十六年度固定資産評価審査請求に対し被告が同年十二月三日別紙目録(一)記載の家屋の価格を金百三十七万三千八百円とした決定を取消す、若し右請求が理由がないとすれば右決定価格を金五十一万円に変更する。昭和二十七年度固定資産評価審査請求に対し被告が同年十二月二日決定した右家屋の価格金百三十一万九百円を金四十万円に右目録記載の土地(一)の価格金五十一万五千九百円を金十万円に、土地(二)の価格金六千三百円を金二千六百円に夫々変更する。昭和二十八年度固定資産評価審査請求に対し被告が同年四月十四日決定した右家屋の価格金百三十二万四千百円を金四十万五千円に、右土地(一)の価格金五十一万五千九百円を金十万円に、土地(二)の価格金六千三百円を金二千六百円に夫々変更する。昭和二十九年度固定資産評価審査請求に対し被告が同年四月十九日右家屋の価格を金百三十二万四千百円とした決定を取消す訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求原因として

一、別紙目録(一)記載の家屋及び土地は何れも原告の所有するところであるが訴外奈良市長は固定資産税課税のため昭和二十六年十月同年度の右家屋の価格を金百四十七万七千三百円、昭和二十七年十一月一日には同年度の右家屋の価格を金百三十三万九千三百円、右土地(一)の価格を金五十一万五千九百円、土地(二)の価格を金六千三百円、昭和二十八年三月には同年度の右家屋の価格を金百三十二万四千百円、右土地(一)、(二)に付いては何れも前年同様の価格に、昭和二十九年三月上旬には同年度の右家屋の価格を前年同様の価格に夫々決定し、その旨固定資産課税台帳に登録したので原告は之を不服として夫々昭和二十六年十一月三日、昭和二十七年十一月六日、昭和二十八年三月二十五日、及び昭和二十九年三月三十日被告に対し審査請求をしたところ被告は審査の結果昭和二十六年十二月三日同年度の右家屋の価格を金百三十七万三千八百円、昭和二十七年十二月二日同年度の右家屋の価格を金百三十一万九百円、土地(一)、(二)は前記市長決定通りの価格に、昭和二十八年四月十四日同年度の昭和二十九年四月十九日同年度の右家屋、土地(一)、(二)の価格を何れも前記市長決定通りの価格に各決定した。

二、然し乍ら被告のなした右各決定は何れも次の如き理由により違法である。即ち固定資産税の課税標準たる固定資産の価格とは地方税法第三百四十一条第五号によれば適正な時価ということになつているがこの適正な時価は実際の取引事例を基準として求める売買価格主義によつて算定すべきであり、家屋と敷地とが同一所有者に属する場合両者を一括して算定した価格と之を各別に算定した価格の合計額とが異なるときは両者を一括算定した価格から敷地の価格を差引いて家屋の価格を算定すべきである、而して本件家屋に付いていえばその大部分は何日頃建築されたものかその建築時期は詳かでないが徳川時代中期ともいわれ腐朽破損甚だしく、ために莫大な維持費を必要とするものでその売買価格は最高昭和二十六年一月一日現在に於て金五十一万円、昭和二十七年一月一日現在に於て金四十万円、昭和二十八年一日一日現在に於て金四十万五千円、昭和二十九年一日一日現在に於ては金五十一万円、又本件土地に付いても昭和二十七、二十八年の各一月一日現在に於てその価格は土地(一)は十万円、(二)は二千六百円を越えるものではない。しかるに被告は之を前述の如くに各決定したものであつて該決定は非常に多額に失し違法不当のものというべきである。なお訴外奈良市長及び被告は地方財政委員会の定めた評価基準に従い再建築価格主義に基き本件家屋の評価をなしたようであるがこの方法によるとするも被告の本件各審査決定にはなお次の如き違法がある。即ち地方税法第三百八十八条に基き地方財政委員会の定めた評価基準(乙第六号証の一)、昭和二十七年度奈良市固定資産評価基準(家屋の部)(甲第十二号証)によれば市町村長は木造家屋の評価に付いては種類別、用途別、構造別に標準家屋を設定して該家屋の標準再建築価格を求め、該標準再建築価格に比準して個々の家屋の再建築価格を求め、之に家屋年齢、損耗度、床面積、利用価値等を考慮して評価額を算出し、又宅地、畑に付いても右同様標準地を設定し、之に比準して個々の宅地、畑の評価をすることゝしている。而して右委員会の指示(乙第六号証の二)によれば市町村長は標準家屋、標準地を設定したときはその旨所轄道府県知事に報告し、知事は之に付き適正な標準家屋、標準地であるか否かを検討し、不適当ならば再設定するよう指導し、又右報告を受けたものゝ中から都市毎に基準となるものを各一ケ宛選定して当該都市の基準家屋、基準地とし、更に之等の中から県内の標準となるものを各一ケ所宛選定して之を県の基準家屋、基準地とし、以上により選定した標準となるものを市町村並びに地方財政委員会え夫々通知又は報告することゝし、以つて地方的に更には全国的に評価の均衡を図ることゝしている。しかるに訴外奈良市長は右評価基準に違反して標準家屋、標準地を設定せず、従つて之を知事に報告していないのである。されば右市長は個々の固定資産を評価するに当つて標準家屋、標準地に比準することなきは勿論、その他何等合理的な基準によらずして恣意に之をなしたものでこれは本件に於てもその例外ではない。然も被告は右市長の評価方法を容認し、本件各審査決定をなしたものであつてその違法たるや論なきところである。尤も被告は標準家屋を設定したと主張するが之は右地方財政委員会の定めた評価基準に副わない違法のもので、又かゝる標準家屋は何等意味をなさないものである。更に被告は本件家屋に付いての昭和二十六年度の評価は奈良市の定めた家屋評価実地調査要綱(乙第一号証)によつてなされたものであると主張するのでいま該要綱別表(三)工事別再建築価額坪当り単価基準表を検討してみるに

(一)、同別表に掲げられた設計手続及諸手続費の出願手続費設計費等その他多くの費用は家屋の坪数に正比例するものではなく、一般的にいつても坪数の多い家屋はそれの少い家屋に比し、殊に二階建、三階建の家屋は平家建の家屋に比し坪当り費用の少いことは建築学上、経済学上の通則であり、又家屋の軸部たる土台、柱その他の用材代金、大工、左官、鳶手伝人夫等の手間賃、アンカーボールト、羽子板ボールト等の材料代金その他多くの費用は同じ坪数の家屋にあつてもその構造の異るに従つて大なる差異がある、たとえば同じ延坪数の家屋でも平家建と二階建とには差異があり、又間取りの多い家屋はその少い家屋に比し多額の費用を要し、更に造作多き家屋はそれの少い家屋に比し費用が嵩むことは論ずるまでもない。従つて具体的に家屋の広狭、階数、構造、造作並びに附属設備等を一定しなければ右別表の坪当り単価を算定することは出来ないのである。然も訴外奈良市長は具体的な家屋を指定し、その延坪数、階数、構造等を一定した上その再建築費を算定し、之によつて右坪当り単価を算出したものでないことは前述の通りであるから右別表による本件家屋の評価は合理的な根拠なくしてなされたものというの外はない。

(二)、然るところ右市長の定めた奈良市固定資産評価基準(家屋の部)(甲第十二号証)によれば家屋の床面積に応ずる減価は一般住宅は別表に定める基準により行うものとし、同別表によれば床面積百坪以上は減価率三十パーセントであり、右床面積は本屋の床面積によるものであるが本件家屋の本屋床面積は百六坪八合八勺であるから右に従い三十パーセントの減価をなすべきである、尤も右は昭和二十七年度の評価基準であるが床面積による減価は前述の如く当然のことであるからたとい昭和二十六年度に於て前記要綱に明定されなかつたとしてもなお減価すべき筋合のものである。

(三)、次に右別表(三)は各等級毎に出願手続費その他(設計費、建築許可手続費、交通費等)、水栓その他(上下水道設備)、器具(電気、ガス工事に附随して設備した電気器具、及びガス器具)、台所、便所、湯殿その他(これ等の附属品一切)等の各種費目を列挙しているがこれによつてみれば各級ともそれ丈で一個の独立した住宅本屋の建築諸費が計上されているから、附属建物たる門、便所、湯殿、物置等の坪当り単価を示すものとはいえない。従つて右別表をもつて附属建物の評価基準となすは不適当であつていま之を本件家屋に付いてみてみるに

(イ)  建物区分一番は玄関であつて土間であるがその対象基準である五級及び六級の布コンクリート、根切り、天井廻り、ボールト、羽子板、釘、畳、建具、硝子、水栓、器具、塗装、台所、便所、湯殿等の施設がない。

(ロ)  建物区分二番は事務所でその対照基準四級及び五級の布コンクリート、根切り、ボールト、羽子板、釘、器具、硝子、水栓その他、塗装その他、台所、便所、湯殿、玄関タ、キ等の施設がない。

(ハ)  建物区分三番はその基準一級及び二級の布コンクリート、見付モルタル、割栗大蛸ツキ、天井廻り、羽子板ボールト、アンカーボールト、釘、土台モルタル玄関タ、キ、水栓、下水設備、塗装その他、台所、便所、湯殿等の施設がない。

(ニ)  建物区分四番は土間で右三番に列記の施設並びに畳、建具の設備がない。

(ホ)  建物区分五番はその基準上級及び特級の布コンクリート、ボールト、羽子板、モルタル、トギダシ、水栓、下水設備、ガス、器具、塗装その他、台所、浴場、便所その他の施設がない。

(ヘ)  建物区分六番は便所でその基準五級の天井廻り、ボールト、羽子板、玄関タ、キ、畳、建具、硝子、水栓、下水設備、台所、湯殿、塗装、器具等の設備がない。

(ト)  建物区分七番は風呂場並びに便所であつて基準五級及び六級の布コンクリート、根切り、玄関タ、キ、畳、硝子、塗装その他、台所等の施設がない。

(チ)  建物区分八番は亜鉛板葺土間の渡り廊下であつて何等の設備もない単なる屋根丈である。

(リ)  建物区分九番は物置で仕切りも床張りもない単なる土間のバラツクであり、その基準九級のモルタル、玄関タ、キ、畳、建具、水栓、器具、塗装その他、台所、便所等の施設がない。

(ヌ)  建物区分十番は土蔵で何の設備もない。

(ル)  建物区分十一番は土蔵の庇で屋根、床張り、及び柱二本丈で他に何の施設もない。

よつて右別表により本件家屋を評価することにしても右施設のない費目は除外すべきである。

(四)、右別表には畳、建具類、電灯、ガス、水道等の附属設備を含めているが地方税法第三百四十一条の家屋、住家とはこれ等附属設備を含むものではない。これ等は家屋と別個の動産であつてその一部をなすものではないから右費目から除くべきである。

そこで以上の諸点を考慮すれば本件家屋の再建築価格は金百九十九万九千二百五十円十銭となり、之に所定の損耗度或は前記床面積による減価率を適用控除すれば評価額は金五十四万八千八百六十七円三十一銭となる。然かもこの評価額は不当極るものであつて前顕出願手続費その他の費用は金三万四千六百十九円十銭、又水盛、遺方その他の費用は金四万八千九百九十円六十銭であるが前者は一回に手続すれば多くも金二、三千円を出でず、後者は一人の大工が手伝人夫を使用し一日乃至二日間で完成し、その費用は金三千円を越えないであろう。その他の諸費用に付いても同様不当な算定がなされているのである。殊に前記土蔵は約三百五十年以前の古建築で甚だしく腐朽老廃し、既に命数も尽きており加うるに原告は昭和十二年之を他所より現在場所に移転したゝめ、更には度重なる地震のため柱と壁が全体に亘り緩みを生じ、又壁は全面に亀裂を生じ、その都度大修理を加えているものであるからこれは課税対象から除外すべきであり、然らずとしても評価額は五万円以下を相当と思料する。而して被告が昭和二十七、二十八及び二十九年度夫々に本件家屋及び土地に付きなした本件各審査決定の不当なるは、右述昭和二十六年度のそれと同様である。然かもかゝる不当評価は原告の本件家屋及び土地に対するばかりでなく、奈良市内各所の固定資産に付いてもなされているのであつて、たとえば奈良市は昭和二十六年一月中その所有に属する同市漢国町五番地にある市営住宅の木造瓦葺家屋十五戸を何れも代金坪当り金百円で夫々売却したが訴外奈良市長は翌二十七年度の固定資産評価に当り売価の六十倍である坪当り金六千円に評価しているのであつて之をもつてしても奈良市に於ては如何に不当な評価がなされているかを知ることが出来ると述べた。(立証省略)

被告訴訟並びに指定代理人は本案前の答弁として、原告の訴は何れも之を却下する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、その理由として被告の審査決定に対して不服がある場合には地方税法所定の訴願手続を経た上右決定の取消或は変更を求めるため出訴すべきであるところ原告はかゝる手続を践まないで本訴に及んだのであるから本訴は訴訟要件を欠く不適法なものとして却下を免れない。本案に付き主文同旨の判決を求め、答弁として、請求原因中第一項の事実は認めるがその余の事実は総て之を争う。固定資産税は従来の収益税と異り純然たる財産税的税質を持つ物税であり、課税標準である固定資産の価格とは適正な時価をいうものとされている。ところでこの適正な時価であるが先ず固定資産とは資産の形で固定せしめているもので一般商品の如く転々流通して価値を生むものではなく、それを使用、収益するところにその価値を生むものであり、換言すれば固定資産とは一部の例外を除いては単なる交換価値を目的として所有されるものでなく、それを使用、収益する価値によつて所有されるものである。それ故固定資産の時価とは使用収益するために之を取得するとしてその取得の際に附与せらるべき価格である。ではこの価格を如何なる方法によつて求めるかということに付いては地方財政委員会は地方税法第三百八十八条に基き市町村長に対し技術的援助として固定資産評価基準を定め、之によつて評価するよう各地方自治体に通達し、よつて奈良市に於いても昭和二十六年度の評価の基準として右評価基準により奈良市の実情に則し家屋評価実地調査要綱(乙第一号証)を定め、訴外奈良市長は之に基き全市内の課税対象家屋を戸毎に実地調査の上評価し被告も勿論右同様の方法で評価決定したものである。而して右委員会の定めた評価基準、従つて又市の定めた要綱による評価方法は家屋構成要素の集約的価値判断による再建築価格主義をとるもので現に存在する家屋を新しく建築するとしての評価額を基礎としてその再建築価格に当該家屋の損耗度、利用価値その他現実の増減価を勘案して評価するものである。ところで右要綱による評価額の算出方法はその別表(三)によつて個々の家屋の坪当り単価を求め之に当該家屋の延坪数を乗じて求めた再現建築費に別表(一)木造家屋減価考慮表の損耗度に基く減価考慮をなし、更に別表(二)利用価値考慮表によつてその考慮をなし、以つて当該家屋の評価額を求めるものであるが之を本件家屋に付いてみてみるに建物区分一番の居宅はその坪当り再現建築費を右別表(三)の五級及び六級との中位金一万六千円と認定し、その損耗度を右別表(一)によりB下四十パーセントと認め、よつて残存率は六十パーセントに付き坪当り残存価格は金九千六百円となり、利用価値による増減価はないものと認めたので之に坪数三、七六を乗じて評価額を金三万六千九十六円と算出した。而して建物区分二番以下も右同様別紙目録(二)記載の如く算出したが建物区分三、四番の居宅は同一棟の家屋であるが床面積の約三十一パーセントは土間部分で天井もなく吹抜であるから之を考慮し右土間部分を分けて之を四番とし、建物区分十番土蔵に付いては社会通念上も土蔵の建築費は一般居宅のそれよりも上廻るものと認められ、然も之に適用すべき単価基準表は定められていない関係上右別表(三)を参考としつゝ客観的な認定により右土蔵の評価をなし、よつて以上合計額は金二百二十八万九千七百六十八円で、而も奈良市に於ては昭和二十六年度分に付いては一般的に更に四十パーセントを減じた額を以つて当該年度の評価額となしたから之を減じた金百三十七万三千八百円が被告審査決定の評価額である。なお右別表(三)は各種の家屋を想定して算出した坪当り単価基準表であつて現存する家屋を標準家屋として作成した基準表ではない。然し個々の家屋の評価に当つては訴外奈良市長は市内に散在する十ケ所の家屋を指定し、右別表に基いてその再建築価格を求め、諸種の増減価を算出し、之を標準家屋として、之に比準して個々の家屋の評価額を算定したものである。仮に右標準家屋の設定が前記地方財政委員会の定めた評価基準に副わないものであるとしても固定資産の評価は市長の権限であつて市長は独自の判断と責任をもつて之を行うべきで右委員会の定めた評価基準も市長に対する単なる技術的援助に過ぎず、従つて何等市長を拘束するものではない。又原告は昭和二十六年度の本件家屋の評価にも床面積による減価考慮として三十パーセントの減額をなすべきであると主張するが各年度の評価は飽迄当該年度の評価基準によつて之を行うべきものであつて右減価考慮に付き何等明定することなき同年度には右減価考慮は之をなすべからざるものである。又原告は地方税法第三百四十一条の家屋、住家とは畳、建具、電灯、ガス、水道等の附属設備を含むものではないと主張するが家屋に附属した設備は家屋と一体となつて効用を発揮するもので両者が同一所有者に属するものである限りその設備は必然的に家屋の価格に影響を及ぼすものであるから家屋の評価には当然これ等附属設備を含めて之をなすべきである。なお奈良市は昭和二十七年度に於ても地方財政委員会の定めた評価基準により奈良市の実情に則して固定資産評価基準(家屋の部)(B乙第一号証の一、)を定め、訴外奈良市長及び被告は之に基き本件家屋の評価をなしたものであつてその評価額算出方法は個々の家屋に付き右奈良市の評価基準別表建築工事別坪当評点表によつて求めた評点数(附帯工事費の評点数に付いては該評点数を延坪数によつて除してえた数)の合計点数を別表建築指数表の数値に一円を乗じてえた額に乗じて坪当再建築価格を求め之に床面積を乗じた上別表家屋の床面積に応ずる減価考慮表に定める基準で床面積による減価をなし、(但しこの場合に於ける床面積は本屋の床面積によるものとし附属建物のそれは含まない。)以つて再建築価格を算出し、次いで別表家屋経年減価率基準表及び家屋損耗度に応ずる減価考慮表によつてえた各減価率の和を二分した減価率を右価格に適用減価し、(この場合に於て家屋の損耗の程度に応ずる減価率が家屋年齢に応ずる減価率より大なるときは家屋の損耗の程度に応ずる減価のみを行う。)且つ別表所在地域の状況による増減価率表、或は家屋の利用価値による増減価率表に基準して増減価をなし、以つて当該家屋の評価額を算出すべきものとしているが今之を本件家屋に付いてみてみるに建物区分一番居宅は右別表評点表によりその工事別坪当評点数をB乙第三号証の一の如くに認定し、その合計一万七千四百三十点、別表建築指数表によればその数値は〇・九であるから坪当再建築価格は金一万五千六百円、之に床面積三坪七合六勺を乗ずれば再建築価格は金五万八千六百円、而して右別表家屋経年減価率基準表及び家屋損耗度に応ずる減価考慮表によつて家屋年齢減価率は家屋年齢を三百八十年とみて八十パーセント、損耗度が四十パーセントその和の二分の一は六十パーセントで結局残存価格を金二万三千四百円と算出し、建物区分二番以下に付いても右同様B乙第三号証の二乃至十、第四号証の通りに算出し、その合計は金百二十五万三千三百円であるが別表所在地域の状況による増減価率表によれば土地等級が四十六級で増価率は五パーセントであるから之を増加すれば金百三十一万五千九百円となり、よつて被告は評価額を金百三十一万九百円と決定した。但し利用価値による増減価はないものと認めた。而して昭和二十八、二十九年度も右同様に評価したものであるがたゞ右両年度に於ては昭和二十七年度より評価額が増加したのは同年度迄課税漏れになつていた木造瓦葺平家建物置二棟各三坪五合の評価額を加算したゝめでその算出方法も右B乙号各証の通りである。次に本件土地に付いても奈良市は地方財政委員会の定めた評価基準により奈良市の実情に則して昭和二十七年度固定資産評価基準(土地の部)を定め、訴外奈良市長及び被告は之に基き本件土地の評価をなしたものであつてその評価額算出方法は先ず宅地に付いては奈良県に於ける県指示坪当り平均価格に宅地総地積を乗じ、之を賃貸価格一円を評点一点として賃貸価格総額で除して評点一点当りの価格を求め、之に売買実例、土地の等級、賃貸価格その他客観的認定により決定した標準地の評点数に比準して自然的条件、経済的条件を勘案の上売買実例、土地の等級、賃貸価格その他客観的認定によつて定めた各筆の宅地の評点数を乗じてその評価額を算出する。いま之を本件土地(一)中四十四番地の一宅地百五十二坪七合四勺に付いてみるに右県指示の坪当り平均価格は金九百円、宅地総地積は百八万九千三百三十六坪、賃貸価格総数は金九十七万五百円であるから評点一点当りの価格は金千百円であり、奈良市に於て昭和二十六年度宅地評価額はその賃貸価格に標準地によつて求めた倍数千四百を乗じたものであるから右土地の賃貸価格金一円五十二銭六厘に千四百倍すると同年度に於ける坪当評価額は金二千百三十六円四十銭となり之を昭和二十七年度の評点数に換算すれば一、九四点になる。故に同年度の坪当り価格は金千百円を一、九四倍した金二千百三十円となり、之に坪数を乗ずれば三十二万五千三百三十六円となるから被告は右土地を金三十二万五千三百円と評価決定した。又四十五番地宅地八十九坪五合三勺に付いてもその賃貸価格は右土地と同じであるから右同様の計算により被告は之を金十九万六百円と決定した。次に本件土地(二)の畑一畝二十七歩に付いては右宅地同様県指示平均反当価格に畑総地積を乗じ、之を賃貸価格一円を評点一点として賃貸価格総額で除して評点一点当りの価格を求め、之に標準地の評点数に比準し、土地の等級、賃貸価格等を勘案して定めた各筆の畑の評点数を乗じてその評価額を算出するのであるが右県指示の反当平均価格は金一万七千八百八十円、畑総地積は二千八百一反、賃貸価格総額は金三万五千三百十円であるから評点一点当りの価格は金千四百円であり、奈良市に於て昭和二十六年度畑評価額はその賃貸価格の千百八十五倍で右畑の賃貸価格は金二十四円であるから同年度のその反当り評価額は金二万八千四百四十円となり、之を昭和二十七年度の評点数に換算すれば二十四点となる。故に同年度の反当り価格は金千四百円を二十四倍した金三万三千六百円となり、之に反数を乗ずれば金六千三百八十四円となるから被告は之を金六千三百円と決定した。而して昭和二十八年度も右と同様に評価したものであつて之を要するに被告のなした本件各審査決定には何等違法不当の点はないと述べた。

(立証省略)

当裁判所は職権で本件家屋及び土地を検証し、且つ鑑定人大橋竜太郎、同岩崎平太郎、同江見利之をして本件家屋の鑑定をなさしめた。

理由

先ず被告の本案前の答弁に付き按ずるに本件被告委員会の各審査決定に対し原告が訴願をなすことなく直ちに本訴を提起したことは原告の明らかに争わないところと認められる。そして地方税法によれば審査決定に不服のある者は道府県知事に訴願し、又は裁判所に出訴することが出来ると規定しているのであるが訴願前置主義を定めた行政事件訴訟特例法第二条はこのように訴願と訴訟を選択的に許している場合にまで適用さるべきものではないからこの点に関する被告の主張は失当である。そこで進んで本案に付いて審究するに

別紙目録(一)記載の家屋及び土地は何れも原告の所有するところであり、訴外奈良市長は固定資産税課税のため昭和二十六年十月同年度の右家屋の価格を金百四十七万七千三百円昭和二十七年十一月一日には同年度の右家屋の価格を金百三十三万九千三百円、右土地(一)の価格を金五十一万五千九百円、土地(二)の価格を金六千三百円、昭和二十八年三月には同年度の右家屋の価格を金百三十二万四千百円、右土地(一)、(二)に付いては何れも前年同様の価格に、昭和二十九年三月上旬には同年度の右家屋の価格を前年同様の価格に夫々決定し、その旨固定資産課税台帳に登録したので原告は之を不服として夫々昭和二十六年十一月三日、昭和二十七年十一月六日、昭和二十八年三月二十五日、及び昭和二十九年三月三十日被告に対し審査請求をしたところ被告は審査の結果昭和二十六年十二月三日同年度の右家屋の価格を金百三十七万三千八百円、昭和二十七年十二月二日同年度の右家屋の価格を金百三十一万九百円、土地(一)、(二)は前記市長決定通りの価格に、昭和二十八年四月十四日同年度の、昭和二十九年四月十九日同年度の右家屋、土地(一)、(二)の価格を何れも前記市長決定通りの価格に各決定したこと、右市長及び被告は地方税法第三百八十八条に基き地方財政委員会の定めた固定資産評価基準(乙第六号証の一)に従い再建築価格主義によつて本件家屋の各評価をなしたこと、奈良市では昭和二十六年度には家屋評価実地調査要綱(乙第一号証)を、昭和二十七年度以降には固定資産評価基準(家屋及び土地の部)(甲第十二号証、B乙第一号証の一、二)を夫々定め、同市長及び被告は之に基き被告主張の如き算定方法によつて前記各年度に於ける本件家屋、土地の各評価をなしたこと、右要綱別表(三)工事別再建築価額坪当り単価基準表は各種の想定家屋を基準にして作成したもので現存する家屋を標準家屋として作成したものではないこと、同市長は右地方財政委員会の指示(乙第六号証の二)に基く標準家屋設定の報告を知事に対ししていないこと、本件家屋の各評価は畳、建具、電灯、ガス、水道等の諸附属設備を含めてなされていることは何れも当事者間に争いがない。しかるところ原告は固定資産の価格とは地方税法によれば適正な時価であり、この適正な時価は売買価格によつて求めるべきであると主張するので先ず之を検討するに固定資産の価格とは地方税法第三百四十一条によれば適正な時価をいうものであること明らかであるがでは適正な時価とは何をいうかというにそれには固定資産そのものゝ性格を考えなければならない。抑々固定資産とは資本を資産の形に於て固定せしめているもので一般商品のように之を転々流通して価値を生むものではなく、それを使用、収益するところにその価値があるものであるから換言すれば単なる交換価値を目的として所有されるものではなく、それを使用、収益する価値に着目して所有されるものである。それ故固定資産の価格は之を使用、収益するためにその固定資産を取得するとしてその取得の際に附与せらるべき価格である。従つて右適正な時価とは固定資産をその現況に於て取得する場合の価格であるということが出来る。然し乍らこの価格を如何なる方法によつて求めるかということになると家屋に付いては原告主張の如き売買価格主義、或は賃貸価格主義、更には再建築価格主義による諸方法が考えられるが先ず右売買価格主義による方法は家屋の交換価値即ち売買価格によつて示された貨弊量によつてその価格を求めるものであるがこれは個別性及び独占性が強いため非商品性が濃厚で従つて適正な市場価格というものが極めて不明確であり、又正常な需給の関係に立つた価格である場合が少なく偶然性に支配され易いので客観的妥当性に欠けるところがあつて評価方法として不適当であり、次に右賃貸価格主義による方法は家屋の価値はその使用、収益性にあるから使用価値を反映した賃貸価格に評価倍数を乗じて評価額を算出するものであるがこれも税法上固定資産税が従来の収益税たる地租、家屋税と異り純然たる財産税とされているところから更には現在賃貸価格は設定以来相当の年月を経ているため妥当な価値を反映するものとは考えられないから採用の限りではない。してみると後に残された而も右各方法に於ける諸欠陥の殆んどない再建築価格主義による方法即ち評価対象と同一のものを再建築し、之に要した総費用に各種増減価を施してその価格を決定しようという方法が最も妥当であるということが出来る。従つて地方財政委員会が右主義を採用し、その指示に従つて訴外奈良市長及び被告が該主義により本件家屋の評価をなしたことは適法相当な措置であるといわなければならない。而して該主義をとる以上原告主張の家屋とその敷地が同一の所有者に属する場合二者一括した評価額と個々の評価額が異るときは一括した評価額から敷地の評価額を差引いて家屋の評価額を求める方法の採用し難きは論を俟たない。又土地の評価方法に付いては乙第六号証の一地方財政委員会の定めた固定資産評価基準、B乙第一号証の二奈良市の定めた固定資産評価基準(土地の部)によれば畑に付いては収益から資本還元してその価格を求める収益還元方式がとられ、従つて又之は本件畑の評価に当つて訴外奈良市長及び被告に採用された方式であるが他に適当な方法もないから結局右方式が妥当な評価方法といわなければならない。然し宅地に付いては売買価格主義による方法が他の諸方法よりも優れていること原告主張の通りであるがこれは右乙号各証が、従つて又本件宅地の評価に当り右市長及び被告が採用するところである。次に右地方財政委員会の定めた評価基準によれば市町村長は家屋の評価方法として種類別、用途別、構造別に標準家屋を設定して該家屋の標準再建築価格を求め、当該標準再建築価格に比準して個々の家屋の再建築価格を求め、之に諸種増減価をなしてその評価額を算出すべきものとし、右委員会の指示(乙第六号証の二)によれば標準家屋を設定した場合之を所轄道府県知事に報告すべきものとするところ被告が昭和二十六年度に於て訴外奈良市長が設定したと主張する標準家屋(乙第十六号証の一乃至十)は前記要綱別表(三)作成のための標準とされたものではなくかえつて右要綱によつてその評価がなされていることは被告の自ら主張するところであつて従つて右標準家屋は右委員会の定めた評価基準に副う標準家屋とはいえない。而して右市長が右別表を作成するに付き現存する標準家屋を設定しなかつたこと、従つて又県知事に対し標準家屋設定の報告をしなかつたことは当事者間に争いがないが原告はかく標準家屋を設定せずして右市長及び被告がなした本件家屋の評価は違法であると主張するところ之を設定しなかつたことは右委員会の評価基準には反するが、然し地方税法第四百三条によれば固定資産の評価は地方財政委員会が自ら固定資産の評価をする場合を除いて市町村長が独自の判断と責任を以つて之をなしうるところであつて右委員会の評価基準も同法第三百八十八条により市町村長に対する技術的援助として定められたもので従つて右評価基準は市町村長が必ず之に従わなければならないものではないから右市長が之に従わずして標準家屋を設定せず、それ故又県知事に対し標準家屋設定の報告をしなかつたからとてそれによつて本件家屋の評価が違法となるものではない。而して右乙第六号証の一及び証人村山良太郎の証言によれば前記要綱は右市長が同号証の骨子にし奈良市の地方的事情を考慮して作成したもので殊に同要綱別表(三)は同号証別表(九)の東京都の坪当り単価基準表を参照し、想定した一定の家屋を基準として之を作成したものであつて従つて右要綱に特に不合理の点の認められない以上右市長及び被告が之によつて本件家屋の評価をしても之を不当ということは出来ない。従つて原告が右要綱別表(三)を検討し、同別表各等級に掲げられた諸費用の多くは家屋の坪数、殊に二階建、三階建の場合の延坪数に正比例せず、又坪当り単価は家屋の構造、造作、或は附属設備等の異なるに従つて大いに差異あるものであつて結局具体的な家屋によつてこれ等家屋の広狭、階数、構造、造作並びに附属設備等を一定しなければ妥当適正な坪当り単価は算定出来ないのであるから標準家屋を設定せずして作成された右別表は合理的なものといえず結局本件家屋は恣意に評価されたものであるとの主張も家屋の広狭、構造等を一定して坪当り単価を算出するに具体的な家屋を定める必要はなく想定家屋によつても之をなしうるものである以上理由がないというべきである。尤も右坪当り単価は家屋の坪数、構造、或は造作等が異るに従い差異あるものであるから個々の家屋のそれと前記想定した家屋のそれとが同一でない限り単に右別表にあてはめて求めた坪当り単価に延坪数倍したのでは個々の家屋の客観的に妥当な価格は求めえないであろう。従つて原告も昭和二十七年度の固定資産評価基準家屋の部(甲第十二号証)には床面積による減価考慮を明定しているのであるから昭和二十六年度に於ても右考慮を、即ち本件に付いては三十パーセントの減価をなすべきであると主張し、又右別表によれば原告主張の如く各等級ともそれ丈で一ケの独立した住宅本屋の建築諸費が計上されているから之を以つてそのまゝ附属建物に当てはめて評価をなすことは不適切であるが然し乍ら思うに固定資産の評価ということは極めて困難なことであつて前記標準家屋自体の評価の如く個々の固定資産を直接に評価するのでない限り(これは調査に必要な費用と労力の関係から不可能である。)如何に綿密に評価基準を打ち立てゝもそれが基準として一般的抽象的なものである以上右述の如き諸欠缺は免れ難いところであつて結局それは個々の固定資産の実地調査と之を調査評価する評価員の経験、及び経験に裏付けられた合理的な価値判断とによつて始めて客観的妥当な評価を期待しうるものである。之を本件に付いてみるに何れも成立に争いのない乙第三、第四号証及び証人村山良太郎の証言並びに弁論の全趣旨によれば被告の本件家屋の評価に当つては評価員数名が実地に検分調査し、細部的に建築材料その他家屋構成要素を右別表(三)と対比し、更に全体的、綜合的に評価しつゝ各評価対象を各等級に当てはめて坪当り単価を求め、本件評価決定をなしたものであつて、その評価過程に於ては勿論右原告主張の如き点を勘案考慮していることが窺われ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。尤もかくすれば評価員の経験程度によつては殊に昭和二十六年度に於ては固定資産税創設から未だ日が浅いので場合によつては不適正な評価がなされる虞なしとしないが右乙第三号証によれば同年度に於ては訴外奈良市長は一般的に右別表(三)によつて算出した額から更に四十パーセントの減価をなして評価額とし、本件被告の評価も之に従つたもので結果としてはこの評価額が客観的な評価額を下廻ることがあつても之を上廻ることなきを期しているのである。更に原告は家屋の評価に附属設備を含むべきでないと主張するが家屋に附属した設備はそれが家屋の所有者に所属する以上附属設備は不動産とは別個の動産であるとしても固定資産税の課税標準たる家屋の評価という観点に立つて之をみるならば右設備は家屋と一体となつて効用を発揮し家屋の価値を左右すること大なるものがあるから之をも含めて家屋の評価をなすは毫も不当ではない。かくして被告の昭和二十六年度に於ける本件家屋に対する評価は前記別紙目録(二)記載の通りに行われその過程に於て著しく不合理な点は認められず、その評価額は大体に於て鑑定人等三名の各鑑定の結果による評価額(勿論再取得価格)に近以し、而も鑑定人岩崎平太郎、同大橋竜太郎の各鑑定の結果による評価額は何れも右被告評価額を上廻るものであつて、又検証の結果によつて明らかである右家屋の位置、構造、建築材料、損耗の程度等に徴しても本件被告の評価が過大になされたとは到底考えられない。従つて右に反する限りに於て鑑定人江見利之の鑑定の結果は採用し難い。而して被告の昭和二十七年度以降に於ける本件家屋、土地の各評価に付き原告が之を不当とする理由は前述来原告の主張するところと同一で何れも失当であること右判示理由の通りであり、前記当事者間に争いない事実と弁論の全趣旨により真正に成立したと認めるB乙第二号証、第四乃至第七号証、第一号証の一、二、第八号証の一乃至三、第三号証の一乃至十及び証人村山良太郎の証言並びに弁論の全趣旨によれば被告は本件家屋に付き昭和二十七年度は地方財政委員会の定めた固定資産評価基準に基き奈良市が定めた同年度固定資産評価基準(家屋の部)(甲第十二号証、B乙第一号証の一、)によつて標準家屋をも設定し、而して昭和二十八、二十九両年度も右と同一評価方法により、又本件土地に付き昭和二十七年度は右委員会の定めた評価基準に基き同市が定めた同年度固定資産評価基準(土地の部)(B乙第一号証の二)により標準地を設定して、而して昭和二十八年度も右と同一の評価方法によつて何れも実地調査の上被告主張の如き算定方法により本件各評価決定をなしたもので他に右各認定を左右するに足る証拠はなく、之に前記鑑定人岩崎平太郎、同大橋竜太郎の各鑑定及び検証の各結果を併せ考えれば右各評価は何れも適正妥当なものであるということが出来る、従つて右に反する限りに於て前記鑑定人江見利之の鑑定の結果は採用し難い。果して然らば被告の本件家屋、土地に対する昭和二十六乃至昭和二十九年度に於ける本件各審査決定は何れも正当であつて何等違法の点はなく、原告の本訴各請求は何れも理由がないから失当として之を棄却すべきものとし、訴訟費用の負担に付き民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 小林定雄 岸本五兵衛 鈴木弘)

(別紙省略)

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